老いも若きも、ともに楽しむ競馬の風景
2025年08月17日
今年も「札幌の夏」が始まった。北海道でも例年以上に暑い夏をすでに迎え、いつも以上に待ち遠しく思われた札幌競馬の開幕日には、あいにくの雨模様にもかかわらず前年を超える1万5千人近くの来場者を集め、大いに賑わった。
思えば、世がコロナ禍に見舞われてから5年。それを境に、競馬場の風景も様々に変化した。無観客という最も厳しい状況に陥ったところから、「新しい日常」を模索する中で様々な工夫も行われ、それ以前とは大きく異なる地平も見えてきたように思う。
目で見て容易にわかるのは、競馬場を訪れる客層だ。これほどまでに、毎週末の競馬場が若い人たちで溢れる様を、昭和平成の時代に誰が想像しただろう。業界の努力に加えて、世の中のトレンドの変化もあり、競馬場の客層は若返り、つれて場内の雰囲気も大きく変化した。若い競馬ファンの増加を切望していた業界にとっては、売り上げだけでなく集客の面でもコロナ禍が前向きな契機になったようだ。
一方、場内で目立たなくなった年配者たちも、ただ黙って消え去ってはいない。先に閉幕した函館競馬では、連日朝一番の開門直後には、驚くことに年配者による「開門ダッシュ」が見られた。先を競って求めるのは、65歳以上対象に用意された「シニアシート」だ。先着順に割り当てを受けられることから、それを求める年配客が開門時から来場。席数は限られており、かなり早い時刻に受け付け終了となるため、席が得られず途方に暮れる人の姿も見られた。シニアシートの運用は各競馬場により異なるが、札幌・函館ではキャッシュレス投票用カード「UMACA」保有者限定。席の受け付けは場内各所にある「UMAポート」という端末機で自ら行う必要がある。正直、デジタル機器に慣れない一部の年配者には高いハードルなのだが、それでも係員の案内に食らいつきながら何とか端末を操作し、席を獲得していく人もいて、その姿には頭が下がる。そういう人は恐らく、UMACAを使っての投票にも挑戦するだろう。誰しもが技術革新から逃れることが出来ない世の中、幅広い顧客がレベルの高いサービスを享受出来るように、時には多少強引であっても新しい技術に引き入れ、そして教導していくことも必要なことなのだろう。そういえば、朝一番でUMACA入金機に長い行列が出来ることも、最近ではよく目にするように思う。
UMACAの話が出たついでに、同様に馬券に関わる技術革新である「スマッピー投票」についても触れておきたい。マークカード・筆記用具の無駄遣いを防ぐ資源保護や、場内美化の観点から、マークカードに代わって各自の持つスマートフォンに買い目を入力し、画面に表示させるQRコードを使って馬券を購入する仕組みがこのスマッピー投票。現場の実情を見ると、「馬券はマークカードで買うもの」という意識が浸透しているからか、まだまだマークカードの設置場所には人だかりが出来、場所によっては取り落とされたカードが散乱している様も見られる。デジタル機器の扱いには慣れているはずの若者の多くが未だマークカードを使っているのを目にすると、1990年からもう35年も続いてきた「マークカードで馬券を買う」という競馬場の風景を変えるのには、意外と手間と時間がかかるのだなと感じている。
私が講師を担当している初心者向けの競馬教室・ビギナーズセミナーでは、若い方には「回転寿司屋で伝票を書いて注文する店などもうない」、年配の方には「自分は老眼でマークカードは見えず、よく買い間違う」などと話して共感を勝ち取りつつ、利用を慫慂している。半信半疑でも使い始めた人は、100%その後もスマッピーを利用する。それほどまでに使い勝手が良く、書き間違いのリスクもなく、更に資源保護に貢献しているという心理的な安心感のようなものもあるのだろう。
すでに、JRAでは全ての券売機でスマッピーが利用できるようになっており、また札幌競馬場では、ファンファーレホールから少し奥に行ったところには「スマッピー専用窓口」、つまりマークカードが使えずスマッピーのQRコードでのみ馬券が買える券売機が何台か設定されている。この専用窓口は、ピーク時でもすいていて馬券購入もスムーズ。今年の夏は、このスマッピー線用窓口にも多くの人々が並ぶよう、重ねて慫慂して行ければと思っている。
最後に、コロナ禍以降最も変化した競馬場の風景を挙げておきたい。それは、レース前のファンファーレのあと場内を包む拍手。コロナ禍の最中、声を出して物事に応援や感謝の気持ちを表すことが出来なかったとき、それに代わって行われるようになった新たな習慣は、ポストコロナの競馬シーンにおいては、競技や(競走馬も含めた)競技者に対する敬意や期待感の表れとして定着した。重賞レースのみならず、朝の1レースから夕方の最終レースまで、全てのレースでファンファーレのあとに鳴り響く拍手の音が醸し出す雰囲気は素晴らしく、老いも若きも問わず、全ての観衆が一体となり楽しむ競馬を象徴する風景を演出している。
このあと、札幌競馬終盤、そしてそのあと競馬が最も盛り上がる秋の競馬シーンにおいて、来場客からの喝采にふさわしいレースが展開されることを、願ってやまない。
当協会会員馬の優勝記録 ‐2025年7月-
2025年08月01日
カテゴリ:愛馬の記録
サラブレッドセールシーズンの幕開けです
2025年08月01日
セレクトセール2025
2025年7月14日(月)、15日(火)の2日間、苫小牧市のノーザンホースパークにてセレクトセール2025が開催されました。
1日目 1歳
上場頭数:227頭(牡138頭、牝89頭)
落札頭数:225頭(牡136頭、牝89頭)
売却率:99.1%(牡98.6%、牝100%)
売上総額:17,100,600,000円(税込)
平均価格:76,002,666円(税込)
最高価格は キタサンブラック産駒、モシーンの2024(牡) が462,000,000円(税込)で落札され、ネブラスカレーシングが購買しました。
キタサンブラック産駒を中心に1億円超の高額取引が相次ぎ、市場の注目度を示す結果となりました。
2日目 当歳
上場頭数:240頭(牡166頭、牝74頭)
落札頭数:228頭(牡156頭、牝72頭)
売却率:95.0%(牡94.0%、牝97.3%)
売上総額:18,869,400,000円(税込)
平均価格:82,760,526円(税込)
最高価格は イクイノックス産駒、ミッドナイトビズーの2025(牡) が638,000,000円(税込)で落札され、こちらもネブラスカレーシングが購買。
イクイノックス産駒は初年度ながら非常に高い評価を受け、5億円超を筆頭に3億円超の高額落札も複数頭を数えました。
またキタサンブラック産駒も当歳馬部門で上位に多数ランクインし、市場を牽引しました。
■ 総合成績
2日間合計売上:35,970,000,000円(税込) 過去最高額を更新
売却率:約97%
今年も日本を代表するセールとしてふさわしい成果を上げ、国内外の注目を集める2日間となりました。
HBAセレクションセール
7月21日(月) 1日目 プレミアムセッション
初日の最高落札額は、
上場番号45番のセカンダリーマーケット2024(牡、父キタサンブラック (有)酒井牧場)が、株式会社ワイズマンによって96,800,000円で落札されました。
当馬が1日目2日目合わせても最高取引額でした。
【1日目成績】
上場頭数:114頭 (牡86頭、牝28頭)
売却頭数:108頭 (牡81頭、牝27頭)
売却率:94.74%
平均価格:28,274,074円
売却総額:3,053,600,000円
(税込)
7月23日(水) 2日目
2日目の最高落札額は上場番号209番のバルレッタ2024(牡、父ドレフォン (有)長浜牧場)で伊藤 功一氏によって46,200,000円で落札されました。
【2日目成績】
上場頭数:249頭 (牡167頭、牝82頭)
売却頭数:200頭 (牡137頭、牝63頭)
売却率:80.32%
平均価格:16,302,000円
売却総額:3,260,400,000円
(税込)
【総合成績】
上場頭数:363頭 (牡253頭、牝110頭)
落札頭数:308頭 (牡218頭、牝90頭)
売却率:84.85% (前年85.12%)
売却総額:6,314,000,000円
平均価格:20,500,000円
最高価格:96,800,000円
(税込)
オンライン購買登録者数 59人(昨年55人)
応札数 260ビッド(昨年153ビッド)
落札数 29頭(昨年22頭)
次回8月に開催されるHBAサマーセールは、当初の予定では5日間開催の予定でしたが、
申込み頭数が多いため1日延長し、6日間開催に変更になりました。
詳しくは主催者ホームページをご確認下さい。
HBAサマーセール2025 開催概要
札幌競馬の開催が始まります
2025年07月25日
いよいよ2025年の札幌競馬開催が始まります。
今年は北海道でも気温が40度にもなる地域があるほどの暑い夏になります。
気温に負けない熱いレースが繰り広げられることと思いますが、 皆様も体調にお気をつけて競馬をお楽しみ下さい。
第1回 札幌競馬 7/26(土)~8/17(日)
主なレース
8/3(日) 北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)
8/9 (土) エルムステークス(GⅢ)
8/17(日) 札幌記念(GⅢ)
永年馬主表彰受賞に際して :有限会社日東牧場 鎌田博子氏
2025年07月15日
おかげさまを持ちまして昨年、有限会社日東牧場は日本中央競馬会様より50年の永年馬主表彰を授与されました。このような表彰制度がある事はまったく認識していなかったために大変驚きましたが、長くオーナーブリーダーを続けることが出来たのは、たくさんの方々に応援していただいたおかげと感謝しています。日本中央競馬会様、会場をお貸しいただいた札幌競馬場の方々はじめ、牧場を支えてくださったすべての方に、この場を借りて御礼申し上げます。また、今年に入ってから生産、所有馬のニットウバジルが2勝クラス戦、3勝クラスの春風ステークスを連勝することが出来ました。高橋文雅調教師はじめ、関係者の方々にも、感謝申し上げます。そして、今回このような機会をいただきました札幌馬主協会の方々にも深謝いたします。
日東牧場は、戦後間もない頃に開場した鎌田三郎牧場をその前身とします。私が、早来町の吉田牧場から亡夫の昌平のもとへと嫁いできたのは昭和30年。21歳の時でした。ちょうど70年前の事です。
トサミツルが桜花賞を勝ったのは昭和25年、クインナルビーが天皇賞を勝ったのは昭和28年ですから、私が鎌田の家に入る前の出来事でした。しかし、牧場に戻ったクインナルビーはオグリキャップの5代母となっています。クインナルビーの血を受け継ぐ馬が、今でも多くの方に愛されていると聞いて、嬉しく思います。これは義父の三郎から聞いた話ですが、クインナルビーという名前は「クインになる日」が、その語源だそうです。馬主さんは愛馬が女王になる日を楽しみに、そう名付けたそうです。
それから、昭和48年にはニットウチドリが桜花賞を勝ってくれました。オーナーブリーダーとしては初めて大きなタイトルを牧場にもたらしてくれた馬ですが、この馬は、幼少期を私の実家である吉田牧場で過ごしていました。ジョッキーをしていた実弟の晴雄(*吉田晴雄氏)が調教を付けていたこともあって、なおさら嬉しかったです。
レース当日、三郎は阪神競馬場へと足を運んでいましたが、昌平はテレビがある静内の知り合い家にレースを見に行っていました。当時、浦河町ではテレビの放送がなく、ラジオたんぱによるラジオ実況中継しかなかったのです。
放送といえば、ニットウバジルがまだ2勝クラスの頃ですが、実況アナウンサーがニットウバジルのことを、ニットウスバルと言い間違えたことがありました。そのアナウンサーの方には申し訳ない話ですが、ずいぶんと前(ニットウスバルは2019にJRAを抹消)に引退した馬の事を覚えていてくださったことが、私たちにしてみれば、とても嬉しかったです。
50年という時間の中では、良い事もあれば、そうでない事もたくさんありました。私は子供の時から馬には触らせてもらえませんでしたので、お話しできるような事はあまりないのですが、当時、家族総出で行っていた乾燥牧草づくりは、そのほとんどが手作業で行っていたこともあって、大変ではありましたが、今となっては良い思い出です。
夫の昌平は、とても優しい人でしたが、あまり体が丈夫ではありませんでした。そういう意味で言えば体が丈夫で働きものだった義父と比べられて気の毒な面があったと思います。だから、義父も、夫も、子供(昌俊氏)には「無理に牧場を継がなくても良い」と言い、現在は違う道を歩んでおります。しかし、幸いなことにたくさんの方々のご支援で、現在まで過不足なく牧場を続けてくることが出来ました。
今は、孫のように育てた2人の従業員が牧場の仕事をやってくれています。繁殖牝馬4頭。今年は残念ながら1頭が流産してしまいましたが、無事に3頭の当歳馬をもうけることが出来ました。私は社長とはいえ、馬の事は従業員が、経理的な事は子供たちがやってくれていますので、安心して日々の暮らしを楽しんでおります。
コロナ以降、年齢的なこともあってなかなか競馬場に行く機会が持てませんが、札幌馬主協会が行う会員懇親会や、研修旅行にはなるべく参加させてもらうようにしています。年代を同じくする懐かしい方々と、実際にお逢い出来ることが、何よりの楽しみになっています。そのような機会を設けていただいていることも感謝しかありません。
再来年(2027年)は、義父三郎が浦河の常磐町に移住して100年だそうです。これからも謙虚と感謝を忘れずに日々を過ごしていきたいと思いますし。今年生まれた3頭の馬が3歳、4歳、5歳と長く、元気に走ってくれること。それが今の私の1番の望みです。
当協会会員馬の優勝記録 ‐2025年6月-
2025年07月05日
カテゴリ:愛馬の記録
当協会会員馬の優勝記録 ‐2025年5月-
2025年06月09日
カテゴリ:愛馬の記録
トレーニングセールが開催されました
2025年05月26日
5月20日 日高軽種馬農業協同組合が主催のトレーニングセールが札幌競馬場で開催されました。
セール前日の19日は9時から公開調教が行われ
最初はあいにくの雨模様でしたが
各馬が日頃のトレーニングの成果を披露しました。
20日のセール当日は快晴の中、13:30から始まり
始まってまもなく68,200,000円というトレーニングセール史上最高落札額を叩き出し
そのあとも会場の熱気とともに活発なせり上がりとなりました。
上場頭数 94頭(牡53頭、牝41頭)
落札頭数 68頭(牡38頭、牝30頭)
売却率 72.34%(牡71.7%、牝73.17%)
売却総額(税込) 504,460,000円
平均価格(税込) 7,418,529円
最高価格(税込) 68,200,000円
No.7-テオレーマ2023 牡
父コントレイル 母テオレーマ(母父ジャスタウェイ)
KEN&BRAINS(株) 販売
(株)ライフハウス 落札
カテゴリ:セール








































